北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2024年06月18日
(494)京都で「日本マンガ学会」大会 「マンガ展」の可能性探る

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第494回
『西日本新聞』北九州版 2024年6月16日(日)朝刊 18面掲載

京都で「日本マンガ学会」大会
「マンガ展」の可能性探る

 マンガの肉筆原稿などを展示する「マンガ展」の数は、ここ数年、ますます増加しており、全国の美術館やギャラリーなどで、日々さまざまな展覧会が開催中です。

 マンガ展は、1990年、東京国立近代美術館の「手塚治虫展」以降、公立美術館での開催が一般化していき、90年代には「横手市増田まんが美術館」(秋田県)など専門施設も開設。2019年には英国の大英博物館が「MANGA」展を開催し、国際的にも注目されています。

 しかし、完成した作品を展示する通常の美術品と異なり、マンガの完成品は雑誌や単行本など出版物で、原稿はいわば半完成品。特に長編作品だと、数百、数千ページもの中からごく一部を抜粋することになり、本来の魅力を展示空間で提示するためには、特別な工夫を必要とします。

 マンガの学術研究団体「日本マンガ学会」では、毎年1回「研究大会」を行い、会員の研究発表のほか、有識者のシンポジウムを開催しています。今年は「マンガと<展示>」がテーマ。2部構成の第1部では、イタリアやフランスでの展示経験などから、マンガやアニメの展示方法を探求してきた明治大准教授の森川嘉一郎さんを迎えて、マンガ展の方法論や社会的意義を論じます。

 第2部では、朝日新聞夕刊の4コマ連載で知られる、しりあがり寿さんが出演。壁や障子にマンガを描くなど、展示空間ならではの表現に取り組んできた経験を語っていただき、マンガ展の新たな可能性を探ります。

 開催は京都で少し遠いのですが、マンガ展の現状と可能性に、ぜひ触れてみて下さい。

(学芸担当係長 表智之)

=MEMO=
日本マンガ学会第23回大会は、22日(土)は京都精華大学、23日(日)は京都国際マンガミュージアムで開催。会員以外の参加も可能で、各日ごとに参加費が必要。詳しくは同学会ホームページにて。

=LINK=
◆日本マンガ学会 ホームページ

◆第23回大会について