北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2024年06月29日
(495)「漫画で学ぼう!小倉祇園太鼓」身近な祭りの歴史を知る

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第495回
『西日本新聞』北九州版 2024年6月23日(日)朝刊 16面掲載
「漫画で学ぼう!小倉祇園太鼓」
身近な祭りの歴史を知る

 もう1週間もすれば、小倉の街に太鼓と鉦(かね)の音が響き渡る「おぎおんさん」が始まります。7月1日の打ち初め式を皮切りに、本祭りまでの期間、街中のところで至るところで太鼓の練習が行われますが、その様子を見て夏の訪れを感じる小倉っ子も多いのではないでしょうか。

 さて、「小倉祇園祭」の起源は約400年前にさかのぼります。現在、祭の代名詞になっている「小倉祇園太鼓」は国の重要無形民俗文化財に指定された太鼓芸ですが、祇園祭に太鼓が取り入れられたのは江戸時代初期。祭りの始まりから少したった1660年頃のことです。

 当時と現在の演奏スタイルは大きく異なり、時代の流れが少しずつ今の奏法を形作っていきました。複雑で独特な小倉祇園太鼓の歴史変遷をこのコラムでは紹介しきれませんが、小倉北区役所が制作した「漫画で学ぼう!小倉祇園太鼓」を読めば、その全貌がよく分かるはず。

 ある日、太鼓を練習する姉弟のもとに、“浮世絵風”な見た目をした謎の男が現れるところから物語は始まります。「史上最強の打ち手」を自称する姉に、彼は「足りないもの」があると言う。それは「歴史の重み」。これを知れば太鼓の上達につながるとのことだが、彼はいったい何者なのか。そして歴史の重みとは?キャラクターたちと一緒に、身近なお祭りのことを楽しく知れる作品です。

 作画を担当したのは、北九州在住の漫画家・ハシダさん。描画の巧みさと、生き生きとした人物造形が魅力的な作家です。これから始まるお祭りの予習に、ぜひご一読ください!

(学芸員 石井茜)

=MEMO=
「漫画で学ぼう!小倉祇園太鼓」は北九州市のホームページ上で
読めるほか、今年の小倉祇園太鼓のパンフレットにも掲載予定です。