北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2024年08月19日
(503)作家2人が「語る会」開催 くらもち先生の魅力紹介

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第503回
『西日本新聞』北九州版 2024年8月18日(日)朝刊 26面掲載
作家2人が「語る会」開催
くらもち先生の魅力紹介

 北九州市漫画ミュージアムでは、恋愛漫画の表現を拡大進化させた、くらもちふさこ先生のデビュー50周年記念展を開催中です。7月20日には、阿部ゆたか先生と山口県下関市が拠点の作家・遠野かず実先生による「くらもちふさこを語る会」がありました。阿部先生はくらもち先生と若い頃から交流があり、遠野先生も『コーラス』(集英社)で同時期に作品を連載していました。そんな2人がファンを前に語り合いました。

 阿部先生は少女漫画を始めとして温かみのある作風で知られており、ある時期くらもち先生のアシスタントも務めました。1977年発表の「冬・春・あなた」などを取り上げ、作画の基本を踏まえつつ、新しい画材の組み合わせや新しい表現に挑戦し続ける気概について語っていました。

 遠野先生はダイナミックで幻想的な作品を得意としています。漫画家ならではの目線で「いつもポケットにショパン」のリアルな身体表現に触れながら、絵の美しさと巧みさを語りました。遠野先生は近作「わたしは漢方美人」(監修・江島俊哉/集英社)があり、阿部先生も9月発売の最新刊「双生児 紗香と綾香」(原作・江戸川乱歩/春陽堂書店コミックス)の発売を控えています。漫画家としての歩みや作風は異なりますが、くらもち先生と作品への親しみがあふれていて、ファンも熱心に耳を傾けていました。

 くらもち先生からは参加へのお礼と「私とは、分身でもある生原稿からの声とおしゃべりしてやってください」という手紙が参加者に配られ、先生とファンがつながるひとときでした。

(学芸研究員・柴田沙良)

=MEMO=
「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」は9月1日(日)まで開催中。