北九州漫画ミュージアム

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2024年09月19日
(507)先月出版『夜が明けたら朝が来る』 門司と下関、家族の物語

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第507回
『西日本新聞』北九州版 2024年9月15日(日)朝刊 22面掲載
先月出版『夜が明けたら朝が来る』
門司と下関、家族の物語

 先月9日に出版された『夜が明けたら朝が来る』(志馬なにがし/SBクリエイティブ)は、関門海峡を挟んだ門司区と山口県下関市を舞台とした作品です。

 門司港でスナックを営むママと二人で暮らす女子高校生・アサは、推しの歌い手「Yoru(ヨル)」に憧れ、ママに歌を教わる日々を送っていました。そんなある日、Yoruが活動休止を発表。喪失感に襲われるアサに追い打ちをかけるように、出生時にYoruと取り違えられていたという衝撃の事実が明らかとなり…。

 作者の志馬なにがし先生は山口県出身。大学卒業後、一般企業に勤めながら、小説の投稿を開始。2023年に、他人と距離を置く内気な青年と病気で視力を失った女性の青春を描いた『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』で第15回GA文庫大賞《大賞》を受賞し、デビューされました。

 さて、取り違えが判明した後、アサは門司港のママか下関に住む本当の両親、どちらと一緒に暮らすか選択を迫られます。積み重ねてきた日々をとるのか、それとも夢を目指す上で恵まれた環境をとるのか、そんな葛藤の末にアサが導き出した答えとは? 娘から母、母から娘へと、家族を大切に思う優しさにあふれた心が温まる作品です。

 また志馬先生が山口県出身ということで、本作ではアサの視点を通して門司港と下関市のさまざまな日常の風景が描かれています。地元民にはなじみ深い場所もたくさん登場しますので、読後はぜひ舞台となった場所に足を運んでみてください。作品をより身近に感じることができますよ。

(図書担当 原田佳織)

作者・志馬なにがしさんのコメント

本作「夜が明けたら朝が来る」が、北九州市と下関市をつなぐような作品になればと思います。

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志馬なにがし作品特設サイト|GA文庫