2024年10月24日
(512)海外作家の業績を学ぶ 漫画ミュージアムで公開研究会
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第512回
『西日本新聞』北九州版 2024年10月20日(日)朝刊 20面掲載
海外作家の業績を学ぶ
漫画ミュージアムで公開研究会
北九州市漫画ミュージアムでは、常設展示エリアで「マンガ表現と<自由>展」を開催中です。9月21日と22日には、公開研究会が開かれました。
1日目は学術誌編集者のチェンジュ・リムさんが、シンガポール、マレーシアの漫画家と漫画について考察しました。2日目は香港のアート
キュレーターであるコニー・ラムさんが登壇し、香港の女性漫画家たちの画業を紹介。さらに両日ともシンガポール出身で、日本や米国でも漫画を発表してきたフー・スウィ・チンさんによるトークと作画実演がありました。
リムさんのパートでは、出展しているウェン・ピクシンさんらを例に、シンガポールとマレーシア国内での発行と流通といった出版状況や、漫画の立ち位置が丁寧に語られました。
ラムさんの講演では1960年代から活躍した少女漫画家、テレサ・リーさんのおしゃれなキャラクターが印象的でした。19世紀頃からの香港の漫画文化に言及しつつ、彼女の代表作「13点」が後の世代のデザイナーにインスピレーションを与えるような作品にもなっていった経過が語られました。
フー・スウィ・チンさんは、本国でのライフスタイル誌の連載についてや、描きたいことを表現するために色を区別して描くこと、猫をモチーフとして使うといった作画における具体例を紹介。実演では幻想的なキャラクターを描いて参加者から好評でした。
漫画が様々な可能性を持つからこそ、国内だけでなく海外の漫画文化にも視点を向ける大切さを共有した北九州での研究会となりました。
(学芸研究員 柴田沙良)
=2024年12月8日(日)まで「あしたのギャラリー」で開催中=
マンガ表現と〈自由〉-アジアの女性作家を中心に-香港・シンガポール・マレーシア | 北九州市漫画ミュージアム