北九州漫画ミュージアム

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2025年03月03日
(529)工藤稜さんのライブペインティング開催 “松本キャラ”生き生きと

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第529回
『西日本新聞』北九州版 2025年3月2日(日)朝刊 16面掲載
工藤稜さんのライブペインティング開催
“松本キャラ”生き生きと

 漫画家・松本零士先生の小倉時代の軌跡を紹介し、当館が秘蔵していた直筆原稿を公開するミニ展示「未来へ語りつぐ松本零士」が、松本先生のご命日にあたる2月13日に始まりました。初日は、トリビュート企画としてイラストレーターの工藤稜先生による“松本キャラを描く”ライブペインティングを開催。今回はそのイベントの様子をご報告します。

 用意されたのは、木製のパネルに取り付けられた縦180センチ、横270センチもの大きなクラフト紙。工藤先生が最初に手にした画材は木炭でした。山と谷のような、リズムがある大きな流線を描き、まず全体の構成をざっくりと決めます。ここで意識されていたのは「未来へ向かっていくような勢いや動きのある構図」だそうで、実際、完成作品を見ると川のような流れを確かに感じます。

 それから人物の下描きに進み、筆ペンと墨汁を使って躍動感のある主線が入れられます。水性クレヨンで着彩されると、おなじみのキャラが生き生きとした姿で現れるのですが、大判の紙面がにぎやかになっていく様子を、観客も夢中になって見守っていました。

 イベントは4時間以上かけてついに終了。松本キャラが大集合した迫力の作品が完成しました。工藤先生いわく、松本作品の魅力は「言葉と絵の美しさ」で、特に絵においては「黒と白のコントラストや、カラーではグラデーション表現が巧み」なんだとか。

 工藤先生のトリビュートイラストを通して、松本先生が生み出した表現やキャラたちに思いをはせる良い機会となりました。完成した作品は本展にてご覧いただけます。

(学芸員・石井茜)

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