北九州漫画ミュージアム

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2025年04月16日
(535)応援展示を漫画ミュージアムで開催 漫画「ドンケツ」ドラマ化

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第535回
『西日本新聞』北九州版 2025年4月13日(日)朝刊 18面掲載

応援展示を漫画ミュージアムで開催
漫画「ドンケツ」ドラマ化

 北九州ゆかりの漫画家・たーし先生の代表作「ドンケツ」実写ドラマになり、動画配信サービス「DMM TV」で25日から配信されます。主演は、関門海峡を舞台とする映画「海猿」でもおなじみの伊藤英明さん。北九州フィルム・コミッションの協力のもと、北九州でのロケ撮影も行われました。

 北九州市漫画ミュージアムでは先月29日から、漫画「ドンケツ」の魅力を伝えるミニ展示を常設展エリアで開催しています。ドラマ版の情報や資料なども、随時追加していく予定です。

 「ドンケツ」の舞台は現代の北九州。けんかは桁外れに強いが、生来のだらしなさと性格の悪さでうだつの上がらない、45歳の中年ヤクザ沢田政寿、通称「ロケマサ」が主人公です。所属組織で起きた内部抗争の中で、ロケマサが仲間と共にその剛腕を大いに振るう、切った張ったの大活劇を軸に、時折ふとのぞかせる心意気や人間味も描いています。

 市民社会からはみ出した悪党たちの、悪党なりの気骨や人情を描いて、人間性の根幹を裏側から照らして見せる、これは小説や講談・浪曲から漫画まで、近代日本の大衆文学に一貫したテーマです。火野葦平「花と龍」を思い出される方も多いでしょう。

 また一方では、昔ながらの少年漫画の「ガキ大将」や「番長」のように、面倒なしがらみを拳一つで打ち破り、押し通す、おとぎ話めいた痛快さも「ドンケツ」にはあります。読みやすく洗練された、たーし先生の卓抜した構成力で読ませる、古くて新しい物語。ぜひこの機会にふれてみてください。

(学芸担当係長 表智之)

=LINK=
▶ドラマ「ドンケツ」公式サイト(DMMTV)
▶漫画「ドンケツ」公式X