2020年08月28日
(315) 福岡発のヒーロー特撮番組 「ドゲンジャーズ」の快進撃
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第315回
『西日本新聞』北九州版 2020年8月20日(木)朝刊 19面掲載
デジタル技術の発達で、マンガなど一人でも制作可能なジャンルでは、地方と首都圏の制作環境の格差は極めて小さくなりました。しかし、集団で取り組むジャンルでの「地方発」はまだ難しく、テレビの「特撮ヒーロー」番組もその一つです。
ところが今春、福岡市を舞台に地元のヒーローたちが活躍する特撮番組が放映され、異例の高視聴率を獲得。全国的に話題を呼びました。その名も「ドゲンジャーズ」。
福岡県一帯では元々、地域に密着した「ご当地ヒーロー」が大勢活躍中で、この番組には5名が参戦。個人の趣味や企業のPRキャラなど経緯は様々で、キャラ設定やスーツのデザイン、必殺技のアクションなどに工夫をこらした個性派ぞろいです。北九州市からは、市の観光大使も務める「キタキュウマン」が出演。「体が硬いのでなるべく戦いたくない」と称する、クセのある存在感が魅力です。
企画・制作を主導したのは、福岡市に実在する企業「株式会社悪の秘密結社」。ヒーローショーの派遣などを行う人気企業です。特撮番組の屋外ロケ撮影は、周辺の許可を得るのに苦労するのですが、同社が築いてきた厚い信頼関係により、ずいぶんスムーズにいったのだとか。小倉城公認アンバサダーにも選ばれた悪の忍者「修羅王丸」も同社に参画し、番組で活躍しています。
大反響を追い風に、続編の制作も決定。資金を募るクラウドファンディングでは、当初目標の500万円の8倍近く、3800万円以上の出資が集まりました。新たな「地方の時代」の息吹を感じます。ぜひご注目を!
(専門研究員 表智之)
=MEMO=
「ドゲンジャーズ」はDVDソフトの発売を予定しているほか、各種配信サービスでも放映中。グッズ展開やヒーローショーの開催も人気を博している。
=LINKS=
■「ドゲンジャーズ」公式サイト