北九州漫画ミュージアム

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2020年10月21日
(322回)大長編漫画「ナポレオン」 野望の皇帝 生きざま描く

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第322回
『西日本新聞』北九州版 2020年10月15日(木)朝刊 21面掲載

大長編漫画「ナポレオン」 野望の皇帝 生きざま描く

 

 今回は『ヤングキングアワーズ』で長期連載されている漫画作品「ナポレオン」の生みの親・長谷川哲也先生の紹介です。長谷川先生は九州工業大学の卒業生。所属していた工学部金属工学科(当時)のあった戸畑のキャンパスに通っていたそうです。

 「ナポレオン」は2003年開始の「獅子の時代」編に続き「覇道進撃」編が11年から始まった、17年におよぶ大長編。ヨーロッパに、世界に、現代に至るまでのさまざまな影響を及ぼした野望の皇帝・ナポレオンの生きざまが、主要登場人物100人以上の大河群像劇として、熱量をもって描かれています。

 ナポレオンの足跡とはフランス革命前後・18~19世紀の欧州史にほかなりません。数多(あまた)の英雄が集い、闘いの中で成長していく、少年・青年漫画の王道をいくダイナミックな作品です。

 スケールの大きな群衆シーンも見どころです。兵士たちの気が遠くなるような行軍や、革命にわく民衆など、1コマに数十人が描かれることもしばしば。描き手泣かせではありますが、重厚な読み応えを生んでいます。

 長谷川先生の2000年以降の活躍も多岐にわたります。ホラー「オカルト・マキアート」や、時代劇「陣借り平助」(原作・宮本昌孝)、「セキガハラ」に加えて、山田風太郎の小説を原作とする「アイゼンファウスト 天保忍者伝」などを並行して発表しています。

 雑誌連載ではナポレオンは目下、ロシア遠征に敗北し、プロシア等による大規模な反撃を受け、まさに窮地。ますます目が離せません。単行本・雑誌ともども、ぜひご一読を!

(学芸研究員・柴田沙良)

 =MEMO=

単行本は「ナポレオン 獅子の時代」編15巻、「覇道進撃」編既刊19巻が発売中。

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