2020年11月09日
(325)小畑健展 NEVER COMPLETE 展覧会だからこそ楽しめること
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第325回
『西日本新聞』北九州版 2020年11月5日(木)朝刊 21面掲載
画業30周年記念 小畑健展 NEVER COMPLETE
展覧会だからこそ楽しめること
近年各地でさかんに開催されている漫画原画展。単にストーリーを楽しむだけなら単行本で十分、と思われるかもしれませんが、展覧会という形だからこその楽しみが実はあります。北九州市漫画ミュージアムで開催中の「小畑健展」をもとに、今回は深掘りしてみましょう。
本展では膨大な数の漫画原稿を、いくつかの方法で分類してご紹介しています。まずは『ヒカルの碁』『バクマン。』など、大きく作品ごとに分ける方法。そして、ここからが肝(きも)なのですが、テーマごとに作品を横断して分類する方法です。「死」というテーマで『人形草紙あやつり左近』や『DEATH NOTE』を例に、今にも命が絶えようとしている人間を描く表現力に注目したり、「機工」というテーマで『CYBORGじいちゃんG』や『All You Need Is Kill』に登場する精密でこだわり抜かれたメカニックデザインをフィーチャーしたりと、作家の表現の「どこが」特徴的で、「なにが」凄いのか、言葉で解説しつつ実際に原画をご覧いただくことで新たな視点を提示しています。展覧会をきっかけに、作品をより深く味わい、普段とは違う角度から楽しんでもらいたいという想いが、そこには詰まっているのです。
もう一点、ご注目いただきたいのが、スケッチや下描きといった、制作過程が伺える展示物です。原稿の描き直しの跡や推敲の過程は、印刷された雑誌や単行本からは見えないもの。作家の努力や苦心の痕跡、こだわりの結晶に触れられる貴重な資料なのです。「漫画原画展」の面白さを最大限に味わえる本展を、ぜひ会場で楽しんでみませんか?
(学芸員・石井茜)
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=MEMO=
「画業30周年記念 小畑健展 NEVER COMPLETE」開催中~12月6日(日)まで。漫画ミュージアム5階企画展示室。入場料一般1000円など。
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