2021年06月14日
(345)マンガのコマに入ってパチリ! 記念撮影コーナー追加
★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第345回
『西日本新聞』北九州版 2021年5月13日(木)朝刊 21面掲載
マンガのコマに入ってパチリ!
記念撮影コーナー追加
世界には様々な国・地域にそれぞれ個性をもったマンガがあります。表現の方法も、作品を発表する媒体の性質(例えば書籍か雑誌か)も異なり、表現方法の違いは発表媒体の違いと実はリンクしています。
日本のマンガは雑誌連載を主体に発展してきました。月刊や週刊など早いペースで作品を仕上げるための工夫が必要で、職業的なアシスタントによる分業制もそうですが、いま一つ、背景の簡略化も大きな効果を上げました。
スポーツや格闘などアクションシーンに顕著ですが、人物の背後にその場の景色を絵として描くかわりに、激しい動きを表す流線「効果線」を入れるのです。手抜きと言えなくもないですが、これはこれで臨場感が出て魅力的で、モノクロで描かれる日本のマンガには特に相性がよく、広く普及しました。
加えて、身体だけでなく心の動きも絵に表す工夫が生まれていきます。激しい驚きを表わす「集中線」(写真左下)もその一例。「描き文字」と呼ばれる手描きの文字で擬音語・擬態語を、例えば「ガーン」と入れればさらに印象的ですね。他にも、心のときめきなどを表す花(左上)、超能力的な気力の高まりを表すオーラ(右上)、不気味な気配を表す「かけ縄」(右下)など様々です
こういったマンガ的な背景の演出効果を楽しめる仕掛けを、北九州市漫画ミュージアムの常設展エリア(6階)に設置しています。当館は現在、県の緊急事態宣言で6月1日まで(予定)休館中ですが、再開館後にはぜひ記念撮影やSNS発信を!
(専門研究員 表智之)