北九州漫画ミュージアム

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2021年11月04日
(365)門司出身の漫画家・神江里見 原画収蔵記念のミニ展示

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第365回

『西日本新聞』北九州版 2021年10月28日(木)朝刊 24面掲載

門司出身の漫画家・神江里見
原画収蔵記念のミニ展示

 北九州市漫画ミュージアムでは現在、北九州ゆかりの漫画家・神江里見の小規模な原画展を開催しています。

 神江は1950年生まれで旧門司市出身。高校卒業後、さいとう・たかをのプロダクションでアシスタントを務めた後、漫画原作者の小池一夫が立ち上げた「スタジオ・シップ」に参画。小池の原作による短期連載作「ヒモ」(73年、『ヤングコミック』)でデビューしました。78年からは『週刊ポスト』で「弐十手物語」を連載し大ヒット。2003年まで四半世紀続いた長寿作品となります。

 さいとうや小池らは、大人向けに読み応えのあるストーリー漫画として「劇画」を標榜し、シナリオと作画の分業など、物語と絵をより重厚にする工夫をこらしていました。ただ、犯罪や謀略が物語に絡む事が多く、殺伐とした雰囲気になりがちなところを、どう和らげるかも腕の見せ所です。

 神江作画の場合、描線の柔らかさがポイントです。線の強弱を自在に使い分け、つるりと滑らかに引かれた曲線が、細かな描き込みを重ねた黒っぽい画面に、不思議な明るさと温かさを醸し出すのです。

 当館では、2016年に逝去した神江の3万~4万点にも及ぶ全原画をご家族からお預かりし、整理を進めています。膨大な原画の保管を個人で続けることは難しく、当館が引き継ぐことで作品を後世へ伝えるお手伝いをしたいとの意図です。今回は整理作業の進捗報告として、代表的な作品の原画60点ほど展示。神江の描線の魅力を、ぜひ間近でお楽しみください。

(専門研究員 表智之)

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収蔵作品展 神江里見