2022年04月07日
(383)末期がん闘病エッセー 赤裸々に8週間つづる
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第383回
『西日本新聞』北九州版 2022年3月27日(日)朝刊 18面掲載
末期がん闘病エッセー 赤裸々に8週間つづる
医者や病院などテーマとする「医療マンガ」。近年は患者や家族視点の「エッセーマンガ」も増え、中でも漫画家本人の闘病体験に基づく作品が多く発表されています。そこで今回は、福岡県出身の漫画家・ひるなま先生による闘病エッセー『末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる』(フレックスコミックス)を紹介します。
本作は、日常的に強い空腹感を感じていた著者が、激しい生理痛をきっかけに病院を受診し、がんの発覚、ステージの判明、余命宣告まで8週間の怒涛の日々を描いた闘病記です。身体に起きた異変から、検査・入院・手術・抗がん剤治療、闘病にあたって「日常を保つ」ために家族のサポートがどのように必要だったか、また「虐待サバイバー(家族の暴力などから幸運にも生き残った人)」であるという著者の事情が、治療の際にどのように負担となるかなど、自身の経験が赤裸々につづられています。
「闘病記」「末期がん」というシリアスな題材ですが、鳥獣戯画風のキャラクターが用いられ、ユーモアも交えながらテンポよく描かれているので、手に取りやすい内容となっています。
コミカルではありますが、医療部分には専門家の監修も入り、著者が病院で聞いた専門用語には解説を付けるなど、医療関係の情報源としても堅実で、同じ状況に置かれた方の助けとなる1冊です。
ポジティブに闘病と向き合うひるなま先生の姿に、病気を抱えている方やその家族だけでなく、読んだ人すべての励みとなる作品です。この機会にぜひ手に取ってご覧ください。
(図書担当 原田佳織)
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