2022年05月28日
(391)かるた題材の「ちはやふる」 競技の奥深さ描く
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第391回
『西日本新聞』北九州版 2022年5月22日(日)朝刊 16面掲載
かるた題材の「ちはやふる」 競技の奥深さ描く
北九州市漫画ミュージアムで6月11日から「ちはやふる展」が始まります。福岡県出身の末次由紀先生による競技かるたを題材にした大人気漫画で、月刊誌「BE・LOVE」で完結に向けて連載中です。
競技かるたは藤原定家が編んだとされる小倉百人一首の歌札を用い、向き合った対戦者の前に規定枚数を並べた札を取り合います。読手(どくしゅ)が一首ずつ歌の前半部分「上の句」を読み上げていく間に、「下の句」が書かれた札を取っていくというシンプルなルール。試合中の精神力はもちろんのこと、開始前に規定の距離内で自由に配置できる自陣の札をいかに並べるかなど、体力勝負ばかりではなく、洞察力も要求される奥深い競技です。
「ちはやふる」の主人公・千早は小学生の時、導かれるように競技かるたの世界に触れ、高校生になってかるた部を創部。幼なじみと再会しさまざまな試合に挑んでいきます。
作中では、千早に立ちはだかるライバル、所属するかるた会のメンバー、かるた部顧問の先生、試合で対峙する選手たちなど、個性豊かで目が離せないキャラクターが多く登場。末次先生の並々ならぬ技量により、競技かるたの試合とともに、百人一首や歌人まで、ごく親近感ある存在として描かれています。
展示会場では末次先生の多数の直筆原稿、精緻な構想ノートなどの設定資料、作画映像、江戸時代のかるたも紹介します。第17首「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」と千早のイラストをあしらった開催記念シールもプレゼント。どうぞお楽しみに!
(学芸研究員 柴田沙良)