2022年04月30日
(387)地域の情報、マンガで発信 最新作集めた展覧会
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第387回
『西日本新聞』北九州版 2022年4月24日(日)朝刊 16面掲載
地域の情報、マンガで発信
最新作集めた展覧会
マンガというメディアは「わかりやすさ」「親しみやすさ」を大きな特長としています。これは日本において特に顕著なのですが、「学習マンガ」「情報マンガ」や文学作品のコミカライズなど、難しい事柄をマンガで分かりやすく伝えようとする試みが盛んです。企業や自治体などの広告や広報におけるマンガの活用もよく目にしますね。
北九州市でも、マンガやイラストレーションを取り入れた街角の装飾物や公共広報物が、近年、とみに増えてきました。そこで活躍する地元の新進作家には、漫画ミュージアムのこれまでの作家育成・創作支援事業をステップとされた方が少なくありません。
他の自治体の情報発信に本市出身の作家が起用された例もあります。熊本県湯前町が今年2月に発行した、同町出身の風刺マンガ家那須良輔(1913~89)の伝記マンガ『風を描く人』です。
那須は、洒脱な似顔絵と皮肉の効いた政治風刺が人気を博し、毎日新聞の紙面で長く活躍。92年には那須を記念した湯前まんが美術館が開館しました。そんな歴史的偉人に、等身大のヒーローとして新たな血を通わせたのがこの作品。感情を率直に表現しながら、情熱的に時代を駆け抜ける主人公の身近な存在感は、2019年に当館と韓国・釜山市との交流事業に参画したタネオマコトさんの筆力のたまものです。
漫画ミュージアムでは現在、地域の情報を発信する最新のマンガ作品6タイトルを、作家や企画者のコメントと共に展示中。マンガで街を盛り上げるフレッシュなパワーを感じ取ってください。
(専門研究員 表智之)
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◆あしたのギャラリーvol.62「地域の情報発信とマンガ」
◆『マンガふるさとの偉人-那須良輔物語-風を描く人』 ※PDFデータで無料公開中
◆「湯前まんが美術館」公式サイト