北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2023年04月05日
(434)SNSの話題作 特集コーナーに勢ぞろい

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第434回
『西日本新聞』北九州版 2023年4月2日(日)朝刊 16面掲載
SNSの話題作
特集コーナーに勢ぞろい

 昨年末から今年3月にかけて発表された出版社や雑誌による「マンガランキング」。近年は交流サイト(SNS)などで話題となった作品がランクインする傾向が見られます。

 『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』(いしいひさいち/(笑)いしい商店)は、ポルトガルの国民歌謡「ファド」の歌手を目指す地方出身の女子高生・吉川(きっかわ)ロカの物語。本作は自費出版のため一般には流通していませんが、SNSを通じて漫画家などの口コミから広がり、「このマンガを読め!」(フリースタイル)の1位を受賞しました。ストーリー形式の4コマ漫画で、ロカの歌姫としての成長や彼女を支える親友・柴島美乃(くにじま みの)との友情、街の人々とのあたたかな交流などが描かれます。しかしラストには切ない展開が…。読後、心にじんわりと響く作品です。

 動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で若い世代を中心に話題となったのは、「このマンガがすごい!」(宝島社)のオトコ編1位に輝いた『光が死んだ夏』(モクモクれん/KADOKAWA)。集落で暮らす高校生のよしきと、親友・光の姿をした得体の知れない「ナニカ」との交流を描く青春ホラーです。画面全体にあふれる擬音語が急にやんだり、手の形をした独特フキダシや歪んだコマがあったりと、独創的な表現で恐怖心をあおる演出は見応えあり!人として生きたいと望む「ナニカ」と、ニセモノでも光と一緒にいたいと望むよしき、二人はどのような結末を迎えるのか、目が離せません。

 北九州市漫画ミュージアムの閲覧ゾーンでは、各ランキングのノミネート作品を紹介する特集コーナーを展開中です。最新の注目作品が勢ぞろいしていますので、ぜひご覧ください。

(図書担当 原田佳織)