日本マンガ学会 九州マンガ交流部会 第30回例会
「少女マンガが社会批評する!?—萩尾望都の『なのはな』を中心として」
全国のマンガ研究者が集う学術団体「日本マンガ学会」の、九州在住会員を中心とする部会「九州マンガ交流部会」との共催で、以下の公開研究会を開催いたします。学会や部会の会員でなくとも、どなたでも自由にご参加いただけます。
日 時 12月23日(月/祝)14時~17時
場 所 北九州市漫画ミュージアム 6階 イベントコーナー
出 演 濱野健(北九州市立大学准教授)、ジャクリーヌ・ベルント(京都精華大学教授)、
大城房美(筑紫女学園大学教授)、表智之(北九州市漫画ミュージアム専門研究員)/司会
参加費 漫画ミュージアム常設展チケットまたは年間パスポートで参加できます
申 込 不要
■概要
「少女マンガ」と「批評」をつなぐとき、「少女マンガを批評する」とともに、「少女マンガが批評する」、という意味をくみとることは可能だろうか。少女マンガはおもに女の子の夢を描き、枠内にあるものをロマン化してきたジャンルであり、キーワードとして、かわいい、きれい、美しい、があげられる、といった定義は、だれもが多少なりとも共有するところだろう。
しかし一方で、少女マンガには、確かにそれ自身が社会批評してきた歴史が存在する。本シンポジウムでは、少女マンガの社会的側面に、あえてスポットライトをあて、とりわけ少女マンガというジャンルを牽引してきた萩尾望都の311(東日本大震災)を題材とした問題作『なのはな』を中心に、少女マンガとその社会批評性について考える。
■萩尾望都『なのはな』について
「なのはな」は、少女マンガ誌FLOWERS8月号(2011年6月28日発売)に掲載された短編である。それに作品3編と描き下ろしを加えた全5編からなる単行本『なのはな』が翌年3月に発売された。震災後原発事故が起こった福島を舞台に、震災で祖母を失った一人の少女を主人公にした短編「なのはな」とその後の物語にはさまれるかたちで、核燃料プルトニウム、ウラニウムを擬人化した3作の短編が収録されている。