日本漫画家協会 九州・中国ブロック 展示コーナー
海峡マンガ合戦 関連特別展
ヴァンサン・ルフランソワ「日本にある街」小倉編
2017年6月3日(土)~8月6日(日)
フランス語圏独自の漫画表現である「バンド・デシネ(BD)」を
日本で発表するアーティスト、ヴァンサン・ルフランソワ。
福岡の風景や日常の情景をユニークな視点から描き続けている
彼が、北九州・小倉を舞台にした新作を制作しました。
本展はこの新作の発表を記念して、2017年2月25日から4月28日にかけて開催した < 海峡マンガ合戦 vol.11 ヴァンサン・ルフランソワ「日本にある街」 > の小倉編として開催するものです。
文化の違いによる「ズレ」や不思議さを、やわらかな色彩と精緻な筆致で描く作品から、見慣れた風景の「未だ知らない魅力」を探してみてください。
◆ヴァンサン・ルフランソワ Profile ◆
1966年、フランス・ルーアン生まれ。福岡市在住。日本漫画家協会員。
パリ・ソロボンヌ大学の造形芸術学部を卒業後、1991年福岡市に移住する。以後福岡を拠点に、新聞・雑誌等のさまざまなメディアでイラストレーションを発表するほか、谷口ジローの書籍の仏語翻訳出版にも関わる。
詳細は公式WEBサイト「アトリエ デカレ」(http://www.atelierdecale.net/)へ。
旦過市場前を舞台にした新作イラスト ©ヴァンサン・ルフランソワ
[ルフランソワ先生 コメント]
「日本にある街」
人生の半分以上を日本ですごした今日でも、
私は、自分が日本人になることは決してできないのだと知っています。
私たちはいつも、自分が幼い頃から育った文化というものに所属し続けるものなのです。
これほどの年月を暮らしたにも関わらず、この国は今でも私に魅力を感じさせ、また驚きを与えてくれます。
日常の中にある刺激的な、ちょっとした文化的「ズレ」を描きたいと私が思ったのは、そんな訳でした。
今回展示するのは、いずれも雑誌か個展のために制作をした物語です。これらの作品では、
日本の街について、アイデンティティの在処を問う情景へと読者を連れ出すことを目的とし、
日常的な現実の詩的次元をよりよく表現するよう努めました。
日本に降り立ったその日から、私は福岡で暮らしています。
この街で就職し、この街で結婚し、大人になってからの人生は、すべてこの地で築いてきました。
福岡には、私自身のあらゆる思い出が詰まっています。
私がこの街を選んだのではなく、この街が私を迎え入れたのです。
日本のどこか他の場所であっても幸せに暮らせたかもしれないとか、
ある日ここから去るかもしれないとか、そういったことは重要ではありません。
ただ今日、私が「ここが私の街です」と言えるのは、
世界中のどの場所をとっても福岡以外にありえないのです。
しかし私の作品がどれも福岡の地域にまつわるものだとしても、
それはもちろん同時に、私が語る「日本の姿」でもあります。
【このコーナーについて】 日本漫画家協会 九州ブロックと中国ブロックの漫画家の皆さんの作品を展示してご紹介する、常設コーナーです。関門海峡をのぞむ北九州の風土にちなみ、「海峡マンガ合戦」と名づけました。双方のブロックから交互に作家が「出場」し、腕を競い合います。とは言え、「漫画/まんが/マンガ/MANGA」は非常に幅広く、多種多様な表現方法があります。海外には「コミック・ストリップ」や「バンド・デシネ」など、日本の漫画とは異なる表現方法のものも。ここでご紹介する作家・作品も、風刺漫画やストーリー漫画、イラストエッセイなど、とても幅広いものになるでしょう。それぞれの魅力にふれていただき、漫画の豊かな可能性を感じ取っていただければ幸いです。
【日本漫画家協会について】 日本漫画家協会(JCA:The Japan Cartoonists Association)とは、様々なジャンルの漫画家たちで構成される公益社団法人です。正会員1126名と、名誉会員7名、賛助会員59法人をあわせて、1192名の会員が所属しています(2016年4月1時点)。優れた作品や作家を表彰する「日本漫画家協会賞」の選定をはじめ、漫画文化の振興につとめています。